まおです。
婚活でゲス男に騙された私達。
私は、もう終わりにしたい。
南さんは、復讐が心の支えになっている。
別れると言っていた咲さんは、北海道で元気にしているだろうか。
榊原と名乗った女性は、その後、ゲス男との関係を終わらせただろうか?
私を含め、4人の女性は深く傷ついた。
そんな中で、彼は第五の女性と婚約をした。
彼と婚約者が、今、幸せな気持ちで居るとしたら・・・。
心穏やかでいるのは、容易なことではない。
彼の婚約者を探したい
ファミリーレストランの涼しい店内で、熱々のドリアを平らげた私と南さん。
ドリンクバーは既に3杯目。
普通なら、気の利いた居酒屋で一杯ひっかけたいところだが、二人ともアルコールは飲まない。
ドリンクバーで全ての種類を制覇するのが、せめてもの憂さ晴らしだ。
急げば終電に間に合うが、私も南さんも席を立つ気がしなかった。
アイスコーヒーの氷をストローでカラカラ音を立ててかき混ぜながら、南さんはこう言った。
『彼の婚約者を探し出して、全てを伝えたい』
そう言うであろうことは、簡単に想像が出来た。
そこまでしなければ、南さんは彼との事を終わらせられないのだと思った。
私は、もう彼の部屋の合鍵を使うのは止めてと伝えた。
南さんは、使わないことを約束してくれた。
代わりに、探偵事務所に頼んで調べてもらうと言う。
彼の名前と、彼女の名前、結婚式場の予約。
これらの情報で、相手の女性の素性が分かるだろうか?
分からなければ、彼のマンションを見張ってもらい、訪ねてきた女性が帰るのを尾行してもらうという。
狙うは日曜日
これまでの彼の行動を整理すると、水曜日は榊原と名乗った女性とデート。
金曜日の夜は、私。
金曜日の深夜から土曜日は南さん。
北海道の女性は不定期。
すると、残りは日曜日だ。
第5の女性、つまり、婚約者とデートしていたとしたら、日曜日が濃厚だ。
但し、四股がバレて水曜日も土曜日もフリーになった彼は、日曜日以外にデートする日を変えたかもしれない。
実際に、結婚式場を予約した申込金の領収書の日付は、㋆29日の土曜日だ。
土曜日にデートしている可能性も高い。
まずは、曜日を絞ってからでないと、探偵事務所を頼むのも容易ではない。
南さんは、自分で張り込んで、何曜日にデートしているのか掴むという。
私は反対しなかった。
もう、徹底的に、南さんの気の済むようにさせてあげようと思った。
時間の無駄とかお金の無駄とか、そんな優等生な意見を言っても、南さんの心には響かない。
彼に、いや、ゲス野郎にトドメを刺してやれ。