まおです。
彼との話し合いを終え、タクシーで駅まで戻った私と南さん。
近くのファミリーレストランで話をすることにした。
とにかく蒸し暑い日で、南さんについては泣き叫んじゃったものだから、化粧はドロドロ。
二人で化粧室に入り、仲良く並んでファンデーションを塗り直した。
こんな時でも、化粧崩れが気になるなんてね。
どうしてお金を受け取ったの?
席に着いた私達はメニューを開いた。
時刻は、夜22時を回っていた。
私は仕事で昼食を食べておらず、空腹で倒れそうだった。
そこで「ドリアを注文する」と言うと、すかさず南さんが「よく、こんな時に食べられるね」と。
ちょっとカチンと来た私は「あんな男のせいで、食欲が無いとか言わないよね?」と言ってやった。
気まずい雰囲気の中、店員さんがオーダーを聞きに来てくれた。
私は「ドリアとドリンクバーをお願いします」と注文すると、南さんが「私も同じ物をお願いします」と言った。
二人とも、なかなか気が強い。
顔を見合わせて、笑ってしまった。
ドリアが来るのを待ちながら、私達は色々話をした。
南さんは私に「どうしてお金を受け取ったの?これで終わりにして本当に良いのか?」と訊ねてきた。
良いも、悪いもない。
これ以上、どうしようもないのだ。
南さんが「それっぽっち」と表現する、示談金(迷惑料)。
ズバリの金額は書かずに置きますが、探偵事務所の調査費用と半年間の交際の中でかかった交通費(中距離恋愛なので)に、プラス迷惑料として上乗せされた金額です。
婚約破棄でもせいぜい100万円程度の慰謝料と聞くので、今回の場合は、私が受け取った金額が上限ではないかと勝手に思っています。
何度も書きますが、お金が欲しかったわけではありません。
しかし、お金すら受け取らなければ、形だけ謝罪した彼に、何の罰も痛みも与えられないではないですか?
南さんが正しいとは思えないよ
私は、南さんにはっきり伝えた。
「南さんのしていることが、正しい事だとは思えないよ」と。
気持ちは十二分に分かる。
分かるから、今まで黙って見てきたけど、合鍵を使って彼の部屋に入るなんて、刑罰の対象になるよと。
警察に連れていかれて、裁判になったっておかしくないよと。
すると南さんは、こう言った。
「なんなら警察に連れていかれて、裁判になってもいい。そうしたら公の場で、彼の不誠実な行為をぶちまけてやる事が出来る。彼の結婚話も破談になるだろうし」
とことん復讐したいらしい。
そんなことをしてニュースにでもなれば、南さんの名前が世間に知れ渡り、人生台無しにするよと言っても、南さんは、それでもいいと言う。
もう、私には南さんを止められない。