まおです。
南さんの爆弾発言を聞いて、一瞬で顔色が青白くなった彼。
いや、青白いを通りこして、真っ白になっていた。
人間って、本当に驚くと、こんな風になっちゃうんだというくらい、焦って動揺している様子が伝わって来た。
恐らく南さんも、彼の顔色が変わったのに気付いたはずだ。
南さんは止まらない。
たたみ掛けるように、次から次へと自分が知りえた情報を口にしていった。
暴露
薄暗い公園の駐車場。
月明かりに照らされ、彼の顔から血の気が引いていくのが分かった。
南さんは、そんな彼の様子を感じながら、ひとつひとつ暴露を続けた。
『貴方が、挙式披露宴の予約を入れたのを知っている』
『〇〇〇ホテルよね』
『来年の㋁〇日〇✖時からよね』
『豪華なチャペルのあるわね』
『チャペル式ウエディングを予約したんだ』
『もちろん、新婦の名前も知っているわ』
『急に態度を変えて、まおさんに謝罪をしたのは、式場の予約を入れたからね』
『お金を渡して黙らせようと思ったんでしょ?』
『結婚しようと思う女性が居ながら、大勢の女性と同時交際するって、大した度胸ね』
『このこと、新婦の明日香さんはご存知かしら?』
『明日香さんとは婚活サイトで知り合ったの?』
『それとも上司のお嬢さん?』
まるで、練習してきたかのように、スラスラと喋る南さんに、私は焦った。
どこまで喋っちゃう気だろう?
合鍵のことは喋っちゃダメだ。
絶対に、ダメだ。
無言を貫く
彼は、額の汗を拭こうとしたのか?
メガネを外そうとしたが、手が震えて出来なかった。
もはや、動揺は誰が見ても明らかで、隠し通せない。
暗がりの中でも、はっきりと分かる。
しかし彼は、だんまりを決め込んだ。
きっと「どうして知っているの?」と問いたかっただろう。
どこで調べたかも、知りたかっただろう。
でも、そんなことを聞けば、自分が挙式披露宴を予約したことを、事実だと認めることになる。
彼は、車の運転席に座り、ずっと正面を向いて微動だにしなくなった。
南さんが、最後にひと言「貴方が喋らなくても、全部知ってるから」
この後、長い沈黙が流れた。
どうすればいい?
どのくらい、時間がたったか分からないが、突然、彼が言った。
「どうすればいい?」
どうすればいいって、小学生の子供じゃあるまいし。
私と南さんは、呆れて何も言えなかった。
再び、時間が流れ、このままでは話が進まないと思った私は、「事実を事実を認めて謝罪して欲しい」と伝えた。
すると彼は「どこで調べたの?探偵事務所?」と聞いて来た。
南さんが何か言いかけたので、私はそれを遮って「世間は狭いんだよ。探偵事務所なんかで調べなくても、耳に入って来るんだから」と言い放った。
私の説明に、彼が納得したとは思わないが、南さんが、合鍵のことを喋ってしまいそうなので、割って入ったのだ。
その後は、三人が三人とも別々の方向を眺め、ただ時間だけが過ぎて行った。